東京高等裁判所 昭和34年(ラ)698号 決定
本件債務名義である判決主文には、債権者帝都高速度交通営団より債務者である本件抗告人に対し本件工作物の収去を請求する権利の存在することが明示されている。抗告人は右請求権の由来するところは東京都の土地所有権であり、右土地は道路敷地であるから、道路法上私権である所有権の行使は許されず、従つて右のような所有権に基く工作物収去請求権も生じないと主張するのであるが、元来かような事由は債務名義の成立に先だち訴訟の口頭弁論において主張すべき事であつて、すでに右給付を命ずる本案判決の言渡があつた以上、かような口頭弁論終結前に主張できた事由を挙げて右判決主文に示された給付義務を争い該判決に基く強制執行を拒むことはできない。
なお、たとえ判決主文に示された給付義務であつても、給付の目的物件が公共用物であつて公用廃止後でなければ強制執行の許されないような場合は格別であるけれども、本件債務名義に示された地下鉄日本橋ストア内に抗告人の設備した工作物の収去義務は、その目的物が公共用物ではなく、強制執行の禁止される物ではないので、右の場合に当らない。
(川喜多 小沢 位野木)